071:誘蛾灯


 往く宛てもなく夜も夜中に
 フラリと部屋を抜け出す事が好きだった

 一通り走り回った後
 車を停めるのは決まって
 客もまばらな田舎のコンビニで

 誘蛾灯の
 例の不快な音以外は
 何も聞こえなかった

 
 手に持った缶が温くなり
 いい加減、誘蛾灯の音が耳障りになると
 たらたらと家路についたっけ
 

 今でも
 退屈なドライブの最中に
 あの懐かしい
 不快な音が時折聞こえる